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行動経済学

 昨年末、米国の経済学者セイラーが行動経済学という研究によりノーベル経済学賞を受賞しました。行動経済学では「消費者は経済・市場原則や需要供給の原理だけで消費を決断するわけではない、そこには必ず心理的・社会的側面が影響する」と考えるそうです。以下に、興味深い研究データの一部を紹介します。

・7勝7敗の力士と8勝6敗の力士が対戦すると、前者の勝率は8割に達する

・500円と1000円の2種類のランチを提供する飲食店が1500円のメニューを追加すると、1000円のランチが急に売れるようになる(松竹梅の手法)

・拾った1万円を落として無くすと、拾った利益よりも損失局面において1万円の価値を過大評価する

・同じ収入・貨幣価値にも関わらず、ギャンブル収入は労働収入よりも軽く扱われる

・予防接種を受ける人が申請するのではなく、受けない人を申請させる選択制度にするほうが接種率は向上する

 セイラーは、人間は合理的な行動から非合理に向かって一定のパターンで偏りがあり、これを「現在バイアス」と命名しました。現在バイアスの特性を見つけて、それを体系的に経済学に取り入れるのが行動経済学とのことです。人間は自分が思っている以上に、将来を見越した合理的な意思決定よりも現在を過剰に重視し優先してしまうのですね。世の中の多くのところに、現在バイアスの影が潜んでいそうです。

 建設分野においても、現在バイアスに影響されそうな意思決定シーンがあるかもしれません。身近な例では、許容支持力qa=100 kN/m2の地盤においてq=99.45 kN/m2が作用する場合のOK/NGの判定などです。建設技術者として構造物の特性や周辺環境の制約、経済性などを考慮した上で、あらゆる工学的判断にできるだけ現在バイアスが入らないように努めていきたいと思います。

(てこ)