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「かわいい」工学

 21世紀以降、世界に最も広まった日本語にKAWAII(かわいい)があるとのことです。かわいい・可愛いは今や幼児やペットなどだけでなく、あらゆるものを対象に使われていて、頻繁に耳にする言葉です。以前、トンネル現場内で年輩の作業員に「このジャンボドリル、なかなか可愛いんだよ~」と言われたのを覚えています。カッコいいならまだしも、あの攻撃的で勇ましいルックスのジャンボドリルが可愛いとは「感覚や思い入れに応じて、人それぞれいろんな見方があるんだな」と改めて感じました。

 最近、かわいい人工物研究部会(日本感性工学会)が「かわいい」工学という本を出版しました。その中で、ある工学技術者が朝必ず起きられるよう、自分の子どもに大音量の目覚まし時計を買い与えましたが全く使われなかったそうです。訳を聞いたところ、一言「その時計、かわいくないから!」とのことでした。その技術者はそのとき、機能より大切なものに「かわいい」ことがあるのかと気付いたそうで、技術者としての価値観のパラダイムシフトであったと述べています。技術者は人工物による価値を創造する職業と言えますが、感性価値としての「かわいい」も重要ということですね。

 「かわいい」建築物は巷に多くあると思いますが、土木構造物ではどうでしょうか。重厚長大で威風堂々、土木構造物の健気でいじらしい一面を「ドボかわいい」として、フリーライターの三上美絵氏は低区配水塔(水戸市)や向野橋(名古屋市)などを紹介しています。市民に長く愛される土木構造物として、機能とともに「かわいい土木」も視野に入れていくと、より親近感が湧いていくかもしれません。
余談ですが「キモかわいい」という言葉も世の中にはあるそうで、褒めているのか微妙(?)な感じです。





G1709-1
水戸市低区配水塔(土木学会HPより)

G1709-2
向野橋(名古屋市HPより)

(てこ)