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量子コンピュータについて

G1703 以前のコラム「IoTや地震に対するケア」では、通常の桁数のパスワードは量子コンピュータを使えば解読される可能性があるため量子コンピュータ用のパスワードに変更することも考えられますと申し上げましたが、【参考文献①】によれば例えば格子暗号(数学的な格子点探索問題の困難性を利用した公開鍵暗号)なるものを導入すれば今のところ量子コンピュータをもってしても現実的な時間内には解けないようです。
 最近私が量子コンピュータのことを気にするようになったのは、まだローカルですがD-Wave社が既に販売実績をもっており、またD-Wave社などのシステムが極低温で用いられるのに対して日立は室温で動作するようなものを開発し【参考文献②】、その他インターネットでいろいろ調べているうちに量子コンピュータは遠い未来の話ではなく、10年以内に一般に使用される可能性があることを知ったからです。そうだとすると自分のビジネスにどうかかわってくるか無性に知りたくなります。弊社でも行っているようなFEM解析にも関係してくるかどうかが一番気になりました。【参考文献③や④】によれば高速に解ける微分方程式もあり、また連立一次方程式を解くことにも応用できるようです。これらのことから、近い将来FEM解析のスピードが劇的にアップする可能性を感じます。今まで長い計算時間を要していた計算がすぐ終わるとなれば、一般には解析自体はすぐ終わるものと認識されるでしょうから、解析担当者はスピーディーな業務対応が要求されるでしょう。また、メモリーの問題はあるにせよ、超スピード解析の実現は解析モデルの単純化をスキップして現実に近い精緻なモデルで計算することに有利に働きます。そうなってきますと解析担当者にとっては辛いところですが、結果の妥当性把握についての能力を伸ばすなどして自らの存在意義をキープする必要があるでしょう。
 一方、量子コンピュータはその性格から離散的な計算が得意とされています。遺伝的アルゴリズム(GA)などによる最適化計算や確率計算には力を発揮しますので、最適化技術は土木分野ではまだあまり広く利用されるまでには至っておりませんが、これがきっかけで普及する可能性があります。また、量子コンピュータ計算⇒ディープラーニング計算⇒人工知能(AI)発展、などといった流れを考えますと、便利になるだけでなく合理化されていくため、最近よく言われますようにAIがカバーできない部分に活路を見出していくような努力も必要になってくるでしょう。

(証)

【参考文献】
①量子コンピュータの解読に耐えうる暗号アルゴリズム「格子暗号」の最新動向;清藤武暢・青野良範・四方順司, IMES Discussion Paper Series 2015-J-9, 2015年7月
http://matome.naver.jp/odai/2142468461338330201
③量子コンピュータを用いた数値積分計算について;加藤公一, UNISYS TECHNOLOGY REVIEW 第90号,AUG. 2006
④Wikipedia; Quantum algorithm for linear systems of equations